2011.05.29更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんのメガバクテリア・AGY・マクロラブダス症についてです。


メガバクテリア(AGY・マクロラブダス)の感染の成立はどのようにして起こるのでしょうか?
 メガバクテリア(AGY・マクロラブダス)は親から子へうつるとされています。メガバクテリア(AGY・マクロラブダス)を持つ親からの吐き戻しや、メガバクテリア(AGY・マクロラブダス)を含む便との接触によりうつります。セキセイインコの場合、かなりの高確率でこの病気を持っています。健康診断をしてメガバクテリア(AGY・マクロラブダス)を持っていない鳥さんの方が少ない感じがします。
 顕微鏡
そしてこの病気の難しい点は、検査を一回受けただけではメガバクテリアを発見できない場合があります。それはメガバクテリア(AGY・マクロラブダス)の感染部位の特異性にあります。メガバクテリア(AGY・マクロラブダス)は「」に病巣を作るのですが、胃のどこに病巣を作るのでしょうか?メガバクテリア(AGY・マクロラブダス)の感染部位の説明の前に、鳥さんの解剖を少し勉強してみましょう。鳥さんは胃が2つあり「腺胃(前胃)」と「筋胃(後胃)」です。腺胃は胃酸がでる人の胃に近いものです。そして、筋胃は胃液のかかった食物を物理的にこなすための胃です。鳥さんには歯がないので、筋胃で咀嚼(ソシャク)していると考えると分かりやすいかもしれません。筋胃をもっと分かりやすく言うと「砂肝(スナギモ)」のことです。鳥さんのメガバクテイリア(AGY・マクロラブダス)はこの腺胃と筋胃の間(中間帯)を中心に病巣を作っています。そして、徐々に胃炎症状を進行させていきます。胃での病状具合によっては病原体が便やソノウに出てこない事もあります。多くは3歳以下で見られますが、5歳や6歳になって発症または偶然発見される鳥さんもいます。一般的にこの病原体の検出はソノウ検査や検便など顕微鏡検査でしか見つけることが出来ません。直接胃を覗く方法もありますが、侵襲的なので簡単に選択できるものではないからです。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.05.16更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんのメガバクテリア・AGY・マクロラブダス症についてです。


メガバクテリア症
AGY症
マクロラブダス症」     





 






メガバクテリアは大きく分けて2つのタイプがありますが、形態はさまざまです。

上記の「メガバクテリア症」、「AGY症」、「マクロラブダス症」、3つの名前は全て同じ名前の病気を表しています。病気について依然不明だったことが少しずつ分かり始め、病原体の名前も変わったため、病名も変化しています。
「メガバクテリア症」は多くの鳥で見られる感染症の1つです。メガバクテリアと言う名前は訳すとメガ(巨大)バクテリア(細菌)となりますが、実は細菌(注1)ではなく真菌(注2)いわゆるカビの一種です。学名は「Macrorhabdus ornithogaster」、学名に胃を意味するGasterが入っています。そしてこの学名からきた病名は「マクロラブダス症」。AGYと言う名前のAはavian「鳥類」、Gはgastric「胃の」、Yはyeast「酵母・真菌」(注3)の頭文字です。すなわち「鳥類の胃の酵母」と訳されます。この名前から来た病名は「AGY症」と呼ばれます。
 
(注1)細菌:悪さ(食中毒や風邪の原因)もすれば、
        人間のためにも働いてくれています。
                  (ヨーグルト、納豆、薬剤、酵素などの生産)
(注2)真菌:キノコ, カビ, 酵母などの仲間のこと。
(注3)酵母:パン酵母、ビール酵母などで耳にする「酵母」。
                樹液や花蜜、果実など、
                自然界のあらゆるところに生息している微生物なのです。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.05.03更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは「鳥さんとの日常の触れ合いが大切」です。鳥さんとの付き合い方についてです。


 初夏と言ってもまだまだ気温が安定しないこの時期、腫れて急激に気温が上がったり、逆に冬に戻ったかのように気温が下がって寒くなったりで、私たちと同じように鳥さんも体調を崩しやすくなります。
 鳥さんは身体が羽毛でおおわれているので、ちょっと見ただけでは痩せているのか、太っているのか分かりません。また病気を隠すように食欲があるフリ、食べているフリをすることがあります。食事の摂取量や糞便の色・形、排泄量が毎日どういった状態かをある程度把握するとともに、実際に身体を触ってみることで体が骨ばって痩せすぎていないか、逆に太り過ぎていないか、お腹だけが変に出っ張っていないか、さわり心地がおかしい所がないか、などの体の変化に気付くこともあります。
 力づくでわしづかみにして、身体に触るのではなく両手で優しく抱っこするようにして体に触れると鳥さんも怖がらず嫌がりません。声をかけて、毎日少しずつ
触れ合って鳥さんが人に身体を触れられることに慣れるようにしていきましょう。そうしていくことで、小さな異変にも早く気付き、病気の発見が早くなります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

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