2012.05.26更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの疥癬症についてです。非常にかゆみが強い病気です!!



 疥癬症お宅のインコちゃんは顔や脚などを痒がりませんか?その際、止まり木やケージの網、食事入れなどにこすりつける姿をみかけますか?さらに、嘴の脇(口角)やロウ膜の周囲、足や肛門周囲に軽石状の無数に開いた小さい穴の白い塊がありませんか?これらの痒がる姿や無数に開いた小さい穴の白い塊は疥癬症の可能性があります。
疥癬症の原因は穿孔ヒゼンダニ(トリヒゼンダニ)と言うダニの感染によって起こります。このダニは名前の通り皮膚に穴を掘って暮らしています。卵を産むのも、幼虫が育つのも全て穴の中で行います。唯一交尾のみ皮膚の上で行われます。一生を皮膚で穿孔ヒゼンダニ(トリヒゼンダニ)過ごすこのダニは0.3-0.4mmほどの大きさなので、ダニ自体を肉眼で発見することはできません。感染は症状と病態、顕微鏡でダニを見つけることによって確認出来ます。穿孔ヒゼンダニ(トリヒゼンダニ)の起こすかゆみは、ダニが穴をほり、老廃物や脱皮物へのアレルギーにより痒みを生むと言われています。穴を掘る刺激などによって皮膚が厚くなる角化と言われる症状があらわれ、これが症状の1つである軽石状の小さい穴が無数に開いた白い塊(結節)を作ります。この白い結節症状は感染後すぐにあらわれるわけではありません。感染後症状が現れるまで、数か月から数年かかる場合もります。発症理由は年齢やストレスなど様々なことがきっかけで起こります。また、一度症状が出ても、改善することもあり見落とされがちです。しかし、この症状が治療せずに進行すると結節が大きくなり、痒みもひどくなります。それによって出血や皮膚炎を伴い、更にひどくなると嘴の変形や爪の変形、感染部分の皮膚の肥厚などが起こります。最後には嘴や爪の脱落が見られる場合もあります。この病気は接触することだけで、同居している鳥さんにうつります。先ほど記述した通り感染してもすぐに症状に現れません。そのため、感染した鳥さんだけを治療していると、後に同居の鳥さんが発症する事になります。接触したことがある鳥さんがいる場合は症状が無くても治療することが重要です。

この病気は数回の治療で完治できる病気です。できるだけ早く病院へおいで下さい。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.05.13更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズです。発情期のメスの発情の問題点についてです。カルシウムに関係する病気です。


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-6)

 このように発情と産卵がうまく進行しバランスよくカルシウムの蓄積と消費がおこれば問題は少ないのですが、どちらかが多くなると病気になります。

発情>産卵(発情回数が産卵回数を上回る場合)
 発情回数が多く卵をあまり産まないでいると、卵になるはずのカルシウムが骨の中に残るので骨の中にカルシウムが沈着、蓄積する「多骨性過骨症、多骨性骨化過剰症・Polyostotic Hyperostosis(PH)」になります。
正常骨
正常骨:緑の矢印
骨の中は空洞であることが分かる。
多骨性骨化過剰症(PH)異常骨:赤の矢印
正常の骨(緑の矢印)と比べると骨が全体的に白く空洞がつぶれていることが分かる。
多骨性骨化過剰症(PH)

これは骨が重くなるだけではなく、空洞な骨のようにしなやかさが無くなり、硬くなるので折れる(骨折)などの事故が起こりやすくなります。また、骨に異常をきたすので変形性関節症(Degenerative joint disease・DJD)などの骨と関節の異常を起こし、脚を引きずる、挙げる、などの「跛行」の症状が出たり、飛べない、羽の位置が変わるなどの症状が出ることがあります。発情ばかりしていると、骨へのカルシウムの沈着も進行すると全ての骨の骨髄が消失(カルシウムの沈着)していきます。骨髄の消失が上腕骨の場合、本来空気が入る場所なので(上腕気嚢)、空気が入ることが出来なくなります。他の骨の骨髄がカルシウムに置き換わる場合、赤血球などを作る場所がなくなるので貧血などの症状になることもあります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.05.06更新

家の鳥さんの爪は長くないですか?
 鳥さんも爪は伸びます。鳥さんの行動、年齢、個体差によって爪の伸びる速さは異なります。家で爪切りをされる方もいますが、お勧めしません。「爪切り」と聞くと簡単そうですが、実は鳥さんの保定や爪を切るためには高い技術を必要とします。安易に行うと、出血したり、指を切ったり、場合によっては脚や翼の骨を骨折させてしまうこともあります。爪からの出血は止まりづらく、大量に出血するため止まり木は血だらけになります。脚や翼の骨を骨折すると歩けなくなったり、飛べなくなったりします。では爪を切らずに伸ばすとどうなるのでしょうか?爪が伸びるとカギ状になるため、引っ掛かりやすくなり、飼い主さんの洋服や、絨毯、カーテンなどに引っかかり、爪が折れたり、足を痛めたり、そのまま暴れて骨折したりすることがあります。やはり爪が伸びた場合は爪切りが必要です。爪を削るためのサンドペーパーであるサンドパーチも同様にお勧めしません。サンドパーチは付ける方向を間違えると爪だけでなく足の裏も擦れて削れるので、足の裏にキズが出来る趾瘤症(バンブルフット)になってしまうこともあります。

 万が一の事故やケガを避けることも重要な事です。病院で爪切りを行ってください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

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