2012.07.29更新

ヘルニアヘルニアを起こした鳥さんのレントゲン画像
赤い矢印:ヘルニアを起こした部位をあらわしている。

  
今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズの最後になります。発情関連疾患には様々な病気があります。今回はヘルニアです。


 持続的に発情することによりお腹の大きさは戻ることがなくなります。それにより、腹筋が薄くなり、腹筋が破れて腸や総排泄腔や輸卵管が出ることがあります。時には肝臓などの内臓も出ることあります。いわゆる腹壁ヘルニアになります。この腹壁ヘルニアになると、腸がヘルニアに出て太くなり排便障害が起きたり、輸卵管が出たりするだけでありません。卵が入っている輸卵管が出ると卵栓(卵詰まり)の原因になります。腸や輸卵管がヘルニア部分にはまり、ヘルニア輪(腹筋の避けている部分)に腸や輸卵管が閉め付けられてしまうと、腸閉塞や卵管閉塞起をこします。総排泄腔が出ると排便障害、宿便過多、糞石症の原因になる可能性があります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.07.22更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの水浴びです。鳥さんの水浴びは見ていると、とても気持ちよさそうに、そしてダイナミックに行います。


だんだんと日差しが強くなり、30度を超えるようになってきました。小鳥さんたちも積極的に水浴びをするようになってきます。しかし、水浴びをしない鳥さんもいます。水浴びする鳥さんとしない鳥さんは何が違うのでしょうか?そして、水浴びの注意事項はなんでしょうか?

水浴び 水浴び

文鳥さんの水浴び、気持よさそうですね。


 
水浴びをする鳥さんでコンパニオンバードと言えば熱帯出身の大型の鳥さんや文鳥さん、猛禽類などが挙げられます。これらの鳥さんたちは水浴びが大好きで寒い冬でもお構いなしに水浴びを行います。あまりしない小鳥さんと言えばセキセイインコさんです。しかし、水浴びを好まない鳥さんや水浴びが大好きなセキセインコさんもいるので個体差があます。しかし多くのセキセイインコが水浴びを行わない理由は乾燥地帯出身なので、水浴びをする習慣がないためと言われています。水浴びをしない鳥さんは砂浴びや煙浴などを行っています。
お風呂?いえ水浴びです。
水浴びは羽根に付いた寄生虫や、積もった脂粉を落とすためと言われています。そのため、脂粉が多く出る鳥種では積極的に水浴びを行う事が多く、出来ない環境下ではこの事が原因で毛引きなどの病気になる事があります。水浴びの方法は様々で、シンクに飛んで行って水を浴びる鳥さんやシャワーを好む鳥さん、水入れに飛び込んでしまう鳥さんもいれば、霧吹きで間に合う鳥さんもいます。その子にあったまたは気に入った方法で行う事がベストになります。この際に注意すべき事は環境の温度と水温です。水浴びするときに環境温度が寒いと風邪をひく可能性があるため、十分に暖かい部屋、または暖かい日光下で行う事が重要です。水温は水が基本です。お湯浴びは鳥さんの脂を取りすぎてしまい、体温の喪失が大きくなり体調を崩す原因取ります。必ず水で行ってください。また、水浴びは自発的にするのが良く、嫌がる鳥さんに人が無理やり水をかけることは厳禁です。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.07.08更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。男の子より女の子の方が繁殖に関係する病気が多いです。


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-8)

黄色腫・キサントーマ

 発情のホルモン(エストロゲン)はお腹の皮膚にも変化を起こします。まず発情のホルモンはお腹の皮膚をたるませます。これは卵がお腹の中にできた時に、お腹の中に卵の分の容積が必要になります。その容積を確保するために皮膚がたるみます。繁殖期や非繁殖期を頻繁に繰り返し、卵をよく産んでいるとたるんだ皮膚が次第に黄色く厚くなっていきます。これが「黄色腫(Xanthoma)」と言われるものです。「腫」と書きますが、黄色腫自体は腫瘍ではありません。脂肪(リポタンパク質)を食べた(貪食した)白血球の1種(マクロファージ)の集まりです。この黄色腫は炎症や腫瘍などの刺激を受けてできるものです。すなわちお腹が大きくなったり、小さくなったり、卵が入ったり、無かったりなどの刺激を受けてできます。さらに発情するホルモンにより、血中のコレステロール(脂肪・リポタンパク質)が増えるので黄色腫が出来る可能性がさらに上がります。この黄色腫は非常に血管が発達している組織で、炎症産物なので刺激性があり自咬症やひっかくなどの刺激により出血を起こしたり、ひどくなると皮膚に穴が開くことがあります。

 


 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.07.01更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは小鳥さんの下痢です。小鳥さんの下痢とはどのような状態で、何が原因になるのでしょうか?



正常便 下痢

小鳥さんの便
左:正常便・・コンマ型の便に白い尿酸が乗っている
右:下痢・・便の形が分からなくなっている


 小鳥さんも下痢をします。鳥さんの種類にもよりますが、多くの小鳥さんの便はゆるい状態では出ません。例えばセキセイインコちゃんの正常な便は小さいコンマ型で緑褐色、その上に小さい白いおしっこが乗っている状態が正常な便です。下痢とはこのコンマ型の形が崩れた状態を指します。下痢と言って間違いが多いのは水分の多い便の場合があります。もちろん下痢の場合、水分は多めになります。しかし鳥さんは尿も一緒に出るため、尿が多い=下痢とはなりません。ここで、便に付く白い物が尿では?と思われると思います。実は鳥さんは2種類の尿が出ます。鳥さんの腎臓は白い尿と透明な尿の2種類が排泄出来ます。この透明な尿が水分の元になっている事が多いです。下痢はあくまでも便の形が無い事が重要になります。下痢は様々な理由で起こります。多いのは胃や腸の感染症が一番多い理由になります。感染症にも様々な理由があり、細菌、真菌、原虫、寄生虫などが挙げられます。これらは検便などの検査をしなければ原因がわかりません。便がゆるいかな?と思われたら、病院においでください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

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