2014.01.26更新

こんにちは、小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの羽シリーズ、羽の異常です。いよいよ病気について始まります。


①羽毛への直接的なダメージによる異常
<羽咬症(うこうしょう)、毛引き症(けびきしょう)>
毛引き症 羽咬症

羽毛への直接的なダメージによる異常
 左:毛引き症
 右:羽咬症


 
 ストレスや発情、内臓疾患、皮膚炎などの様々な理由によって自分で羽をいじくり、羽根を傷つけ、抜いてしまう病気です。羽根の羽軸(うじく)だけを残して羽枝(うし)をむしり取る羽咬症(うこうしょう)と羽根自体を抜いてしまう毛引き症(けびきしょう)があります。羽咬症(うこうしょう)や毛引き症(けびきしょう)は鳥種や個体差があり、きまった場所をいじくり続ける場合もあれば、何か所も同時に自傷する場合もあります。
病気ではないが、抱卵斑(ほうらんはん)も一種の毛引きであります。これは雌の鳥が繁殖期の中で卵を自肌で温めるためにお腹側の一部の羽を抜きます。抜いた羽根は巣材になります。発情起因性の毛引き症です。しかし、過発情や発情のストレスによって進行すると重度の毛引き症になる場合も見られます。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.01.18更新

こんにちは、小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGはちょっと変な題名ですよね?鳥が卵を産むのは当たり前です。しかし、なぜ卵を産むことを選択して進化したのでしょうか?


(子孫を残す方法)
全ての生物は命をつなぐために生きています。そのため子孫を残すために生きていると言っても過言ではないでしょう。様々な生物がいるように子孫を残す方法も様々です。高等生物では大きく分けて3つの方法で子孫を残します。
①卵生・・・・卵生は卵を産卵し、卵の中で胚が大きくなりヒナとなり孵化します。鳥類、多くの爬虫類、昆虫類、魚類、ごく一部の哺乳類(単孔類のカモノハシなど)などが含まれます。
②卵胎生・・卵胎生は卵生と胎生の中間の繁殖方法をとり、卵の中で胚が育つのは卵性と変わりはありませんが、卵は外界に出ることはなく母親の体内に残り、子は母親の体内で孵化して外界へ出ます。サメの一部や魚類の一部などの限られた生き物で見られます。
③胎生・・・・胎生は母親の体内で胎盤を介して胚を育て、子供を出産します。ほとんどの哺乳類が含まれます。
の3つです。この①、②、③は進化の順番も表しています。鳥さんはこの中で①卵生を選びました。何故でしょうか?
(卵生のメリット)
卵生の一番のメリットは他の2方法(卵胎生、胎生)に比べて最短で子孫(卵)を外界に出すことが出来ます。すなわち親は子供がお腹の中にいないので生活に制限なく行動が出来ます。普段の生活行動の中でも危機を回避できる確率は上がります。巣にいても同様に助かる可能性があります。
(卵生のデメリット)
卵生のデメリットは卵の安全性が挙げられます。自分で動く事が出来ない卵は敵に襲われた場合、そのまま食べられるしかありません。さらに外界の状態に影響を受けます。卵胎生や胎生では寒冷地で合っても問題なく繁殖する事が出来ます。しかし、卵生ではできません。卵の発育が止まるからです。そのため、卵生をする多くの種類は産卵をする場所、季節などが限定されます。
デメリットが多い方法を鳥類は選択をしています。何故でしょうか?
(卵生と飛ぶこと)
上記の通り、鳥類はデメリットが多く、さらに最も進化していない繁殖方法を選びました。おそらくそれは「飛ぶ」と言う事に特化したためでしょう。飛ぶと言うことは重さとの戦いでもあります。少しでも軽い時間を多くするための選択と考えられます。しかし、鳥類は卵生を行う生物の中で、最も進化した方法をとっています。それは卵生=大量に産卵と考えられていますが、鳥類は数百個、数千個、数億個と産むことはありません。数個から多くても十数個です。産卵数は少ないのですが、産みっぱなしではなく抱卵、育雛を行います。これによって環境の要因から少しでも卵やヒナを守り、生存確率を上げています。さらに偽傷行動やモビング行動と言われる行動をとり、卵やヒナを外敵から守ります。この点からみても一般的な卵生とは異なり進化した卵生である事が分かります。鳥類は卵生と言われるデメリットの多い繁殖方法をとっていますが、「飛ぶ」と言う事、さらに少数の産卵でも抱卵、育雛を行い効率的にヒナを育て、偽傷行動やモビング行動によって卵、ヒナを守り様々なデメリットを補っています。飛ぶ事を生活の基本としている鳥にとって卵生は最も効率的な方法であると言えます。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.01.05更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの羽シリーズです。
いよい小鳥さんの羽の異常についてになります。羽は様々な病気を表します。では、どのような病気があるのでしょうか?

羽の異常
鳥も様々な病気にかかります。そして、羽根にも様々な症状が現れます。ここでは羽・羽根と病気の関係について挙げます。

① 羽毛への直接的なダメージによる異常
 <羽咬症(うこうしょう)、毛引き症(けびきしょう)>
② 羽毛への感染による異常
 <羽毛ダニ(うもうだに)>
 <ハジラミ>
③ ウイルス感染による羽毛の異常
<PBFDPsittacine Beak and Feather Disease)>
 オウム・インコ類の嘴と羽の病気
<BFD(Budgerigar Fledgling Disease)>
  セキセイインコの雛病
④ 内科疾患による羽毛の異常
 <脂肪肝症候群(しぼうかんしょこうぐん)>
 <甲状腺疾患>
⑤ 感染症や内臓疾患などから来る羽毛の異常
 <ストレスライン>
⑥ 羽包の異常
 <羽包嚢胞>
 <羽包上皮種>

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.12.21更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。
今回BLOGは鳥さんのお尻のでっぱりについてです。おしりと言ってもどこだ?となりますので、写真もつけています。クリックすると拡大します。おしりは様々な理由で出っ張ります。それでは見てみましょう。

ヘルニア





赤い矢印:ヘルニアを起こしている。すぐ上は総排泄孔。


 
鳥さんの総排泄孔の尾側(総排泄孔と尾羽の間)に白っぽいでっぱりが見られる鳥さんがいます。直径0.3cm~1cm程の大きさで見つかる事が多く、特にセキセイインコの♀に見られる事が多い病気の1つです。これは「ヘルニア」を起こしている可能性が高いです。ヘルニアとは「本来は体内の決まった部位にある物が出てしまう事」と定義されます。ヘルニアを放っておくとお腹の中の脂肪や腸、輸卵管、総排泄腔などが入り込んでしまい大きくなってしまいます。
ヘルニア キサントーマ



赤い矢印:ヘルニア
黄色い矢印:この部位もヘルニアを起こしています。皮膚もキサントーマと言われる状態です。


 
この病気は腹圧がかかるとどんどん大きくなっていきます。雌の場合、発情や産卵など腹圧の機会が多いため、ヘルニアとして出る事が多いです。しかし、慢性の太っている鳥さんや呼吸の荒い鳥さんなど腹圧が上がる鳥さんでは出る可能性があります。これを放っておくと突然具合が悪くなり落鳥する可能性があります。このヘルニアを発見したらすぐに病院へおいでください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.12.07更新

こんにちは、小鳥のセンター病院です。今回の小鳥のさんのBLOGは、鳥さんの換羽についてのもう少し詳しい話です。

<換羽中の小鳥さん>
換羽・トヤ中 トヤ終了

左:換羽中、もう少し!
右:換羽が終わってさっぱり!!


 
 換羽は鳥に非常に多くのエネルギーを要求します。それは、羽毛はケラチンと言うタンパク質(βケラチン、φケラチン、羽ケラチン)からできています。羽が抜けると新しく羽根を作る必要が出てくため、肝臓が頑張ってこのケラチンを作ります。いつもの生活を送るのに必要な肝臓の働きの他に羽根を作るエネルギーを要求されます。さらに、羽が抜けるということは保温が難しくなるということも表しています。そのため、さらに体温の保持のためのエネルギーも要求されます。そのため、この時期(換羽期、トヤ期)に入った鳥は食事を食べるが、日中「ウトウト」する寝ている姿がしばしば見られます。安静が肝臓への負担が少ないという事が身を持って知っているためでしょう。この時期に体力の消失から病気になることが多いのも確かです。この時期の食餌・栄養管理と保温が重要になります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.11.30更新

こんにちは、小鳥のセンター病院です。今回は「小鳥さんの胸が膨らんでいる」の中の鳥さんのソノウ下垂編です


家の鳥さんの胸は膨らんでいませんか?胸が膨らんでいる場合いくつかの病気の可能性があります。①過肥(太りすぎ)、②皮下気腫③ソノウ下垂などがあげられます。


ソノウ下垂白丸:この部位までソノウが下垂している。





③ソノウ下垂
鳥さんは口と胃の間に食堂が拡張し、食事を一時期的に貯めるソノウといわれる場所があります。これが様々な理由によりソノウが拡張して、胸部の皮下に入り込んでしまい徐々に下に広がっていく(下垂する)病気です。拡張したソノウ内に水分と食事があり、体温は42度という大変に暖かい環境なのでバイ菌が増えやすくなっています。バイ菌が増えると口臭がひどくなったり、ソノウ炎になったりします。ソノウ下垂を家で診断をつけることはできません。そのため、病院での診療が必要になります。必ず病院で診察を受けてください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.11.09更新

こんにちは,小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さん羽シリーズ、「換羽・トヤが起こる理由」についての話です。前回
少し難しい換羽の話でした。今回は換羽が起こる理由についてです。



<換羽(カンウ)・トヤが起こる理由>
尾羽の冠羽・トヤ←尾羽の冠羽・トヤ
一般的な換羽(かんう)とは、古くなった羽根が新しい羽根に生え変わることで別名トヤとも言われます。ヒナの場合、幼綿羽が正羽に生え変わるヒナトヤ(初毛羽後換羽、幼羽後換羽)があります。成鳥ではこの換羽(トヤ)は様々な事がきっかけで起こります。それは、日照時間の変動、発情(繁殖期)、温度、湿度、季節、時間(成長)、性差、種差など様々な因子によって起こります。換羽は鳥種によっても変わるが、同じ鳥種でも個体差によって時間差や抜け変わる羽の量の差が出ます。また、換羽にはある決まった時期に周期的に行われる定期的換羽(規則性換羽)と、時間周期に関係なく起こる不定期的換羽(不規則性換羽)があります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.10.26更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回は「小鳥さんの胸が膨らんでいる」の中の鳥さんの皮下気腫編です。

家の鳥さんの胸は膨らんでいませんか?胸が膨らんでいる場合いくつかの病気の可能性があります。①鳥さんの過肥(太りすぎ)、②鳥さんの皮下気腫、③鳥さんのソノウ下垂などがあげられます。

皮下気腫緑の矢印:緑の矢印の間に空気がたまっている状態。





②皮下気腫
鳥さんの気嚢や肺に事故や感染などで穴が開いた時、皮膚の下、筋肉の上に空気がたまり皮膚が膨らむ場合があります。これを皮下気腫といいます。ひどい状態だと呼吸困難を伴い全身が風船のように膨らむ場合があります。
この病気は大きな他の病気を伴っています。必ず病院での診療、治療が必要です。できるだけ早く病院へおいでください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.10.12更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回は「鳥さんの羽」シリーズの「鳥さんの換羽・トヤ<羽の生え方>についてです。

鳥さんの換羽(かんう)・トヤ<羽の生え方>


<羽の生え方>
換羽(かんう)の話しの前に、羽根はどのように生えてくるのでしょうか?
換羽 トヤ 文鳥 換羽 トヤ

換羽中の小鳥さん
 左:セキセイインコ
 右:文鳥


 
羽根は皮膚がくぼんで羽包(うほう)を作り羽芽(うが)と言われる羽根の元とも言いえる物が発生します。その羽芽(うが)が徐々に羽鞘(うしょう)と言われる鞘(サヤ)が徐々に伸びて成長します。羽鞘(うしょう)の中に羽軸(うじく)や羽枝(うし)が出来始めると、羽鞘(うしょう)の中の羽根が作られると同時に血管が退縮します。すると、少しずつ羽鞘(うしょう)がはがれ始め中から羽根と言われる構造が出てきます。この羽根は筋肉およびその筋肉と羽包(うほう)との摩擦とによって把持されています。そのため、簡単には抜くことが出来ません。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.09.28更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回は「小鳥さんの健康診断」についてのBLOGです。小鳥さんの健康診断てどのような意味があるのか?また、実際連れて行く方法は?などなど、いろいろな方向から書いています。

小鳥さんの健康診断

 家の鳥さんは元気にしていますか?時々、健康診断を受けていますか?元気だから、、、。と言って様子を見てしまう気持ちはわかります。しかし、健康診断は単に病気を見つけるだけのものではありません。その他にも重要な事があります。その重要な事は飼い主さんや鳥さんにとっても、我々獣医師にとってもあります。
飼い主さんや鳥さんにとって重要な事の1つは鳥さんが移動になれる事、鳥さんが外の刺激に対してなれる練習になります。単純に鳥さんの移動ですが、夏は熱中症に冬は寒さに気をつけて運ぶ必要があり練習になります。いざ病院へという時にどの容器で、移動手段は何で、どのくらい時間がかかるのかなどの目安を知ることもできます。また、健康診断は色々な飼育方法のアドバイスをする機会ともなります。鳥の医学は日々進歩しています。ちょっとしたアドバイスですが、少しずつ進化しているのです。我々獣医師にとって重要な事は鳥さんの特徴、クセ、性格、食べ物の好き嫌い、普段の行動、病院での緊張具合、就寝時間、飼い主さんや同居鳥との関係、など鳥さんの様々な事を聞く事または知る事が出来ます。これらの事は治療の様々な事の役に立ちます。鳥さん1羽1羽同じではありません。飼い主さん、鳥さん、その環境など様々な事を配慮して考える必要があります。そのため、日頃からの健康診断が重要になるのです。
健康診断は年に2回を目標に来院してください。爪切り、羽根切り(クリッピング)などのトリミングもおこなっています。もちろん鳥さんやその環境についての相談はなんでも受け付けています。来院して遠慮なく聞いてください。


投稿者: 小鳥のセンター病院

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