2014.06.14更新

④内科疾患による羽毛の異常
<脂肪肝症候群(しぼうかんしょうこうぐん)>
YFS
 鳥類で羽根に症状が出る肝臓の病気として脂肪肝症候群がある。脂肪肝症候群は脂肪肝に伴って現れる症状のこと。これはルチノーのオカメインコで分かりやすく白い羽根が黄色く変色する(羽根の黄色化)。羽根の黄色化をYFSと言う。これはYellow Feather Syndromeの略。白いオカメインコが徐々に黄色いオカメインコに変わっていく変化は緩除に起こるので、気付かれずにその他の症状(嘴・爪の出血斑、嘴の過長)を伴って見つかる場合も多い。セキセイインコやボタンインコなどでも羽根の黄色化や羽根の赤色化が見られる。
治療前YFS 治療中YFS

羽毛の黄色化
 左:治療開始前のルチノーのオカメインコ(ポーちゃん・ピーちゃん)
 右:治療中の同じルチノーのオカメインコ(ポーちゃん・ピーちゃん)


 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.05.24更新

オウム・インコさんの洗濯板?
オウム・インコさんの口の中を覗いた事がありますか?オウム・インコさんの上の嘴の裏側に細いスジが付いています。ここは食餌を口の中で滑らないようにする役割などがありますが、もう1つ下嘴を整える役割を果たしています。この部位が洗濯板のようになっていて、下嘴をきれいな形に整えているのです。
嘴の異常


不整咬合によって伸びるようになってしまった嘴


 嘴の異常

上嘴の欠損によって下嘴がのびてしまうセキセイインコ


  何も食べていないのに嘴をジョリジョリ動かしていたりする(特に眠い時)がその行動です。そのため、上嘴が事故や怪我、感染、栄養障害や内臓疾患などで異常が発生すると上手く下嘴を整える事が出来ず伸びてしまいます。こうなると定期的に下嘴を整形する必要が出てきます。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.05.18更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんのウイルスによる羽の病気BFDについてです。この病気は発見は見落とされることもあり、非常に注意が必要な病気です。


③ウイルス感染による羽毛異常

<BFD(Budgerigar Fledgling Disease)>
(セキセイインコの雛病)
ポリオーマウイルス属のAvian Polyoma Virus(APV)によるウイルス感染症です。オウム・インコ類からフィンチ類まで様々な種類に感受性があります。羽根や羽毛ダスト、分泌物などで水平感染が成立します。このウイルスはヒナの死亡率の高さで知られていて、その他に様々な症状(消化器障害、肝臓障害、腎臓障害、呼吸器障害、出血斑、腹水など)を引き起します。

PBFD・BFDにかかっているボタンインコPBFD/BFDのボタンインコこのボタンインコさんはPBFDとBFDがともに陽性です。ぱっと見ただけでは分かりづらい場合も、、、、。


特に羽根についての症状は脱羽、羽毛形成不全(フレンチモルト)などの症状が出ます。この羽根の症状はオウム・インコ類の嘴と羽の病気(PBFD)の症状に類似します。問題となるのは成鳥が感染すると多くの場合、キャリアー状態(症状は出ないが、菌を保持している状態)でいるので感染に気付きません。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.04.28更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは小鳥さんの「ソノウ検査」についてです。ソノウとは食堂が一部拡張した場所であり、胃ではありません。さて、その検査とは何でしょうか?


鳥さんには「ソノウ」と言われる部位があります。しかし、全ての鳥が発達したソノウを持っているわけではなく、特にオウム・インコ類は非常に発達したソノウを持っています。ちなみにソノウは漢字で書くと「嗉嚢」と書きます。
ソノウは食道が一部拡張した場所で食べ物を一時期的に貯蔵したり、場合によってはヒナを育てるミルク(ピジョンミルク、フラミンゴミルクなど)を出したりする場所にもなります。このように様々な役割を果たすソノウも病気になることもあります。この時に行う検査を「ソノウ検査」と言います。ソノウ検査は感染症などを疑う時に行う検査になりますが健康診断の一部として行う事もあります。

ソノウ液 ソノウ液 真菌







上:ソノウ検査で得られた白い液体
左:白い液体には真菌が見られた


 


 ソノウ自体が病気になる原因としては炎症、異物、結石、腫瘍、火傷、裂傷など様々な病気があります。炎症は細菌、真菌、原虫などによって起こります。異物は鉛などの重金属や、人の食べ物、ラインストーン、プラスチック、毛玉などによって起こります。結石は尿酸、毛玉などによって起こります。腫瘍が出来る場合もあります。火傷はヒナに与えるサシ餌の温度管理のミスによって起こる事が多いです。裂傷はカラスや猛禽類、猫などに襲われたときに受傷する事が多いです。
 実際にソノウ炎になった時の症状としてはアクビ、多飲、えずき、嘔吐などが見られます。この症状の中で、「えずき」とは漢字で「嘔吐き」と書きます。漢字の通り吐くしぐさの事で、鳥さんの場合は頭部と頸を上下に振って食べた物を吐き出すような仕草をする事です。しかし、これら全ての症状(アクビ、多飲、えずき、嘔吐)が全てのソノウ炎の症状として見られるわけではありません。全く無症状の時もあれば、全ての症状が現れている場合もあります。無症状の時は健康診断や食欲不振、膨らんでいるなどの場合に見つかる事があります。ソノウ炎の仕草がある時はもちろんですが、症状がなくても定期的な健康診断を受けるようにしてください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.04.19更新

こんばんは小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの病気の中でも怖い病気、PBFDについてです。
この病気には様々なパターンがありますが、特に羽に関係する部分を書いてみました。

③ウイルス感染による羽毛異常
<PBFD(Psittacine Beak and Feather Disease)>
(オウム・インコ類の嘴と羽の病気)
PBFD 一般的なコンパニオンバードと言われるオウム・インコ類の中でも恐ろしい病気の1つに挙げられます。
原因ウイルスはサーコウイルス科サーコウイルス属のPsittacine Beak and Feather Disease Virus(PBFDウイルス)によって起こるウイルス感染症です。
このウイルスによる症状は鳥種、年齢によって異なるが突然死から症状を出さないキャリアーまで多彩です。
特に羽に関係する症状としては、「羽鞘の脱落異常」と言われる症状がでる。この症状は羽根が成長して伸びていくが、いつまでも羽根を包んでいる鞘(さや)と言われる羽鞘(うしょう)が取れず鞘(さや)に入ったまま伸びていく状態を現わす。
異常羽他には「羽軸(うじく)の出血斑」と言われる症状。この症状は正羽(せいう)で顕著に見られ、羽軸(うじく)と言わる羽根を支える軸に黒い点があり消えません。羽軸(うじく)は普通、白く透き通った物なのでこの黒い点はあると目立ちます。さらに「羽根のねじれ」、この症状は羽根がスパイラル状(らせん状)に成長し、異常な形の羽毛形成や羽鞘の脱落異常、出血斑が見られます。
セキセイ PBFDそして、この異常羽毛(形の異常がある羽根)は基本的に抜けて脱落してしまうか、鳥自身が抜いてしまうことも多いです。そして、このウイルスの恐ろしいところは羽根(や嘴(くちばし))の異常と同時に、このウイルスによって免疫が抑制(自分の身体を守る働きが抑制されること)され感染症(細菌、真菌等の二次感染)にかかり、死亡することもあります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.03.22更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの羽シリーズ、羽毛への感染症ハジラミです。あまりお目にはかからない病気かもしれません。


<ハジラミ>
ハジラミハジラミは基本的に羽毛ダニと同じでフケなどの角化物を食べているが、羽自体を食べる事もあり、感染している事が羽枝が欠損している事で気付く場合があります。大量に寄生すると羽毛ダニと同じように掻痒(そうよう:かゆみの事)やストレスにより皮膚炎や羽咬症(うこうしょう)、毛引き症(けびきしょう)になる事があります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.03.16更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは小鳥さんのお尻から出るものについてです。小鳥さんのお尻から出る病気は色々あります。

「鳥さんのお尻から何か出ている?」と言う主訴で来院される方がいらっしゃいます。鳥さんのお尻から出る物には何があるのでしょうか?そもそも鳥さんのお尻はどのような構造になっているのでしょうか?
 鳥さんのお尻に出口は1つしかありません。全てが出る孔なので総排泄孔と言います。雄の鳥さんであれば、尿、便、陰茎または精子(種による)が出ます。雌の鳥さんであれば尿、便、卵など全てがこの孔から出ます。この総排泄孔は総排泄腔の出口にあたります。総排泄腔は尿洞と糞洞、肛門洞に分かれています。尿洞に尿管や精管、輸卵管の膣部がつながっています。
 雄の鳥さんの場合、総排泄孔から出る事があるのは総排泄腔脱で、多くの場合、慢性の下痢や総排泄腔内の腫瘤によって脱出する事が多い。
総排泄腔脱雌の場合は慢性の下痢や総排泄腔内の腫瘤、卵と総排泄腔が一緒に出る総排泄腔脱。卵管が出る卵管脱、卵管が卵管内に入り込む事によって出てくる卵管重積。卵管の腫瘍によって起こる卵管脱などが起こります。  
これら全ての症状は感染と乾燥、総排泄孔の拘縮(締め付け)による血流の悪化が起こり強い浮腫が起こります。この状態は鳥さんにとって非常に刺激のある脱出物になります。そのため、鳥さんはこの刺激のある脱出物をいじります。これによって感染と出血がひどくなり、ますます腫れあがります。このまま放置すると更なる感染と出血を起こし、壊死などを伴った状態になり、生命にかかわる状態になってしまいます。そしてオカメインコで発症する事が多い卵管重積などはすぐに緊急手術を必要とします。どの症状にしてもすぐに処置を必要とします。お尻から何か出ている?と思ったらすぐに病院へおいでください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.03.01更新

こんにちは小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの羽シリーズ、羽毛ダニについてです。羽ダニは意外と見かける事が多いです。


②羽毛への感染による異常
<羽毛ダニ>
 羽毛ダニや、ハジラミは羽根に感染していわゆるフケなどの皮膚の角化物を食べて生きています。そのため、少量の寄生では症状に表れません。大量に寄生することにより掻痒(そうよう:かゆみの事)やストレスにより皮膚炎や羽咬症(うこうしょう)、毛引き症(けびきしょう)になる事があります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.02.15更新

こんにちは、小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは最近とても多く見るけがです。どの鳥さんにも起こりえます!!

小鳥さんの保温器具による火傷に注意!!

火傷足の裏を火傷したコザクラインコさん


頭の火傷頭に火傷を負ったセキセイインコさん




寒いこの季節、小鳥さんの保温は大変に重要になります。保温方法は様々ですが、保温器具を使っている方に注意事項があります。最近、保温器具による小鳥さんの火傷が増えています。保温器具は様々な種類が出ています。その種類によっても異なりますが、小鳥さんが直接接触できる保温方法をとっている場合は特に注意が必要です。このタイプの器具は保温能力が非常に高いのですが、火傷のリスクも高くなります。保温器具がかごの中に入っている場合、保温器具の下で寝る鳥さんは頭を、保温器具の上で寝る鳥さんは足の裏を火傷してしまいます。頭を火傷しやすい鳥さんはメスの鳥さんと雛鳥、幼鳥にみられます。足の裏を火傷するのは、コザクラインコ、ボタンインコ、オカメインコなどによく見られます。保温器具の設置位置を注意して、飼っている鳥さんがどの場所にいることを好むのかをよく見て保温器具を設置してください。また、頭が突然脱羽したり、脚を跛行する姿を見たら病院へおいで下さい。


写真を提供していただいた飼い主様に心より感謝いたします。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2014.02.01更新

こんにちは、小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの咳についてです。鳥さんも風邪をひき、咳をします。しかし、鳥の咳????どのようなものなのでしょうか?

小鳥さんも「咳」をします。しかし、なかなか咳をしている姿を見たり聞いたりする機会がないので、どれが咳なのかわからないのも事実です。小鳥さんの咳とはいったいどのようなものなのでしょうか?動画を用いてみてみましょう。






咳はどのような時に出るのでしょうか?
咳は主に下部気道疾患と言われる病気の時にみられます。咳の出る下部気道疾患とはどのような病気でしょうか?下部気道とは、「気道」、「気嚢」、「肺」と言われる空気が通過する場所の総称です。この部位に感染や腫瘍などにより炎症が起こると「咳」が出ることがあります。感染はウイルスや細菌、真菌、寄生虫など様々な事が原因で、腫瘍は甲状腺腫や肺の腫瘍などが原因で起こります。人でも気道や肺に炎症を起こすと咳が出ます。同様に小鳥さんも咳が出ます。下部気道疾患は確実に進行して、治すのに非常に時間がかかり苦労する病気です。これは非常に状態が悪いことを表す病気です。小鳥さんの下部気道疾患は命に関わる重篤な疾患であることを表しています。痰(タン)1つで命を落としてしまう事もあります。早期に気づき、治療をすることが非常に重要になります。


動画に参加してくれた鳥さん「リンちゃん」

動画を提供していただいた、リンちゃん・そらちゃんの飼い主さんに心から感謝いたします。

投稿者: 小鳥のセンター病院

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