2013.04.06更新


<羽毛の種類・①正羽>
① 正羽(せいう)
正羽いわゆる一般的に「羽根」と言われる羽毛です。頭から尾までの体の表面を覆う羽毛のことです。正羽の形によって、軀幹(くかん:胴体のこと)に生える「体羽(たいう)」、翼に生えている「風切羽(かぜきりばね)」、尾に生えている「尾羽(おばね)」に分類されています。これらの羽は基本的に中空状(ストロー状)の羽軸(うじく)および羽軸根(うじくこん)に羽弁(うべん)と言われる羽軸を中心とする一枚のシート状の羽根で構成されています。これらの羽は飛ぶ事に関与していることが多く、さらに汚れや雨などから飛ぶのに重要な羽毛や体を保護しています。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.03.31更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは「小鳥さんの顔が汚れている」についてです。ある日小鳥さんの顔が汚れていました。なぜでしょうか?


顔の横が汚れている
 時々、「顔の横が汚れている」と言って来院される方がいらっしゃいます。この時、外耳炎である場合があります。鳥の外耳炎と聞くと不思議に思う方もいらっしゃると思います。それは鳥の耳はどこにあるの?と言う疑問だと思います。鳥さんの場合、耳介はありませんが、外耳道は存在します。顔の横が汚れているその部分に何らかの感染症が発症すると外耳炎になります。この時、耳の側の羽が濡れていたり、耳の周囲の皮膚が掻き過ぎにより腫れたり、羽が抜けたりします。ひどくなると顔が傾いてしまう事もあります。耳のあたりの羽が抜けていたり、汚れていたり、気にして掻いているのをしばしば見かける場合は病院へおいで下さい。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.03.16更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの羽シリーズ、「半綿羽」についてです。半綿羽はどのような役割をしているのでしょうか?

<羽毛の種類・③半綿羽>
③ 半綿羽(はんめんう)
半綿羽外見は正羽(せいう)で性質としては綿羽(めんう)に近い羽毛。羽軸(うじく)を持ち羽枝(うし)より羽軸(うじく)が長いので正羽(せいう)のように見え、小羽枝(しょううし)には鈎(有鈎小羽枝・ゆうこうしょううし)がないので綿羽(めんう)のような機能(保温)性を有しています。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.03.16更新

羽毛の種類
<羽毛の分類>
 羽毛の種類には「①正羽(せいう)」、「②綿羽(めんう)」、「③半綿羽(はんめんう)」、「④毛羽(もうう)・糸状羽(しじょうう)」、「⑤粉綿羽(ふんめんう)」「(後羽)」があります。
次回より1つずつ細かく見ていきましょう。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.03.09更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの「尿」についてです。鳥さんもおしっこをします。しかし、多すぎることはありません。
どのくらいが多いのか?多いとどのようなことが考えられるのでしょうか?



正常便、尿 多尿

小鳥さんの尿
 左:正常の尿
 右:多尿


  鳥さんもおしっこします。しかし、我々哺乳類とは違って2種類のおしっこが出ます。1つは白い尿いわゆる尿酸と言われるおしっこで、鳥さんの種類にもよりますが、健康な鳥さんはこの白いおしっこののみが便に付着して出ます。あと1つが透明な尿です。多くの種類の鳥さんでは水を飲んだ時や果物や葉物などの水分を取った時にこの透明な尿が見られます。しかし、この透明な尿が大量に出る事はありません。大量に出るようになった場合は何らかの病気の可能性があります。多くの場合に見られるのが水を大量に飲む多飲です。ひどい状態になると水を入れる容器が空になるほど飲んでしまう事もあります。多飲や多尿になる理由はストレス、食餌性、発情性、トヤ(換羽)、内臓疾患(肝臓、腎臓など)、消化器疾患、代謝性疾患(糖尿病など)などが挙げられます。鳥さんが大量に水分を取ることはありません。体重が重くなり飛ぶ事に支障をきたす可能性もあります。多飲、多尿は何らかの疾患があると考えられます。早めに病院へおいでください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.02.23更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは小鳥さんの羽シリーズ「糸状羽」についてです。この羽は飛ぶことの役には立たなそうです。しかし、重要な役割を果たしています。それは何でしょうか?

<羽毛の構造・糸状羽>
 綿羽とは逆に、羽軸(うじく)のみで羽枝(うし)をほとんど持たない変わった羽根もあります。それは糸状羽(しじょうし)とも毛羽(もうう)とも剛毛羽(ごうもうう)とも言われます。この羽根は飛ぶことには関与していませんが、感覚に関与していると言われています。正羽の側に生えている糸状羽(毛羽)は羽根の位置や形の把握をしています。
剛毛羽更に眼の周りや鼻孔(びこう)の周りに生えている糸状羽(毛羽)はゴミの侵入などを阻止しています。更にオオルリやキビタキの嘴(くちばし)周囲に生えている剛毛羽(ごうもうう)は虫を捕まえるのに役立つため補虫網(ほちゅうもう)と言われています。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.02.16更新

小鳥さんに付けられた足環・足輪
(矢印の部分)


 
今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは小鳥さんの足環についてのお話です。足環には意味もありますが、危険もあります。足環とは?リスクとは?



鳥さんの足には足環・足輪と言われる輪っかが付いている場合があります。小鳥さんの場合、個体識別の標識、血統、ファーム、性別、などの区別として付けている場合が多いのです。足輪の材質は様々で、アルミニウム、プラスチック、皮(鹿、牛、合皮)などが、鳥の種類に合わせてつけられています。文鳥などではプラスチックがオカメインコや大型鳥ではアルミニウム、猛禽類では皮が付けられます。足輪・足環は足の跗蹠部(ふしょぶ)と言われる脚の羽根の生えていない部分に付けられます。この足環・足輪は簡単に取り外しできないように出来ています。特殊な工具を必要としたり、足輪・足環を切断する以外に取り外す方法がない場合もあります。
起立できないカナリア 足輪による右足の怪我

足輪による怪我により立てなくなったカナリアさん。


 
足輪の食い込み足輪・足環は思わぬ事故を引き起こす事があります。多いのが、足に傷をつけてしまう事により足に感染を起こしてしまう事です。その他には成長したり太ったりして跗蹠部位が太くなり足輪・足環が食い込んでしまうなどの事故や、カゴの中の遊具に引っかかり思わぬ事故にもつながる事もあります。
もし、繁殖や血統に強いこだわりがなく、一般的なコンパニオンバードとして生活されるようであれば、足輪・足環ははずす事をお勧めします。また、跗蹠部の太さと足輪・足環の太さが合っていない場合や食い込んでいたり、気にして咬んでいたりする場合、病院へおいで下さい。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.02.03更新

綿羽今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは小鳥さんの羽シリーズ、「綿羽」についてです。この羽はふわふわしています。簡単に舞ってしまいます。




  <羽毛の構造・綿羽>
 羽軸(うじく)と言う構造をほとんど持たない羽毛もあります。それは綿羽(めんう)いわゆるダウン(下羽)です。綿羽(めんう)は小羽枝(しょううし)を持つが、鈎(有鈎小羽枝・ゆうこうしょううし)を持たないため羽弁(うべん)を作りません。そのため、綿状に広がり保温性に優れヒナの羽(幼綿羽)や鳥の下羽として生えています。
 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.01.27更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは小鳥さんの「黒い便」についてです。黒い便とは不気味ですね。しかし、この便を見たらすぐに病院に来てほしいのです。なぜでしょうか?どのような病気なのでしょうか?



小鳥さんの便は何色ですか?黒い色の便をしていませんか?鳥さんの種類、食餌によって便の色は様々ですが、一般的な鳥さんの便の色は緑褐色になります。

正常便 黒色便・メレナ便

小鳥さんの便
 左:正常便・・・コンマ型の便で、白い尿酸が乗っている
 右:黒色便(メレナ便)・・・つやがあり、ネバネバした感じが分かる


 黒い色で、ネバネバした便はメレナ(黒色便)と言われる消化管からの出血を表しています。消化管の中でも特に上部消化管からの出血を現わしています。上部消化管とは何でしょうか?それはソノウ、胃、小腸など、消化管の内で口に近い方を指します。大腸などは下部消化管と言われています。下部消化管からの出血は血便と言わる血の色をした便が出るため区別できます。まれに鼻腔などの出血を大量に飲みこんだときや口腔内の出血を飲み込んだときなどにもメレナ(黒色便)は見られます。たまに小鳥さんは小さい黒っぽい便をしますが、この便は固いので簡単に拾い上げる事が出来ます。このため、この小さくて固い小さな便はメレナ(黒色便)ではなく正常な便であると区別ができます。これに対してメレナ便はネバネバしていてつやがあり、敷き紙にべったりとくっついているために拾い上げる事はできません。鳥さん自体も元気がなくじっと膨らんでいるはずです。
このメレナ便は上部消化管の感染症や事故、内臓疾患など様々な事で見られます。消化管の中に出血をしているという事は圧迫して止血をするなどの行為はできません。さらにバイ菌もそこから体内に入る可能性もあります。黒いネバネバした便は鳥さんの状態が非常に危ない事を現わしています。この便を見かけたら、できるだけ早く来院してください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2013.01.06更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは小鳥さんの羽シリーズの目次です。これから少しずつアップして行きます。

目次
 初めに・・・・「羽」、「羽根」、「羽毛」の使い分けとは? 
 羽根とは・・・鳥類の特徴である羽について
  <羽根の役割・機能>                              
  <羽根の重さ・体重に対する割合>        
       <羽の生えている領域>                          
 羽毛の構造・・羽根の構成物質は?どのような構造・特徴なのでしょうか?
  <羽毛の構成物質>                                       
   <羽毛の構造・正羽>                                               ←今回はここ
   <羽毛の構造・綿羽>
  <羽毛の構造・糸状羽>
 羽毛の種類・・鳥の羽毛にはどのような種類があるのでしょうか?
  <羽毛の分類>
  <羽毛の種類・①正羽>
  <羽毛の種類・②綿羽>
  <羽毛の種類・③半綿羽>
  <羽毛の種類・④毛羽、糸状羽>
  <羽毛の種類・⑤粉綿羽>
  <羽毛の種類・後羽>
 羽のお手入れ・鳥さんの羽のお手入れとは?
  <羽繕い(ハヅクロイ)>
  <羽繕い(ハヅクロイ)と尾腺・尾脂腺>
 換羽・・・・・鳥さんの羽の入れ替えはどのように起こるのか?
  <羽の生え方>
  <換羽(カンウ)・トヤが起こる理由>
  <換羽中の鳥さん>
 羽の異常・・・大事な羽の異常はどのような病気を表すのでしょうか?
  ①  羽毛への直接的なダメージによる異常
   <羽咬症(うこうしょう)、毛引き症(けびきしょう)>
  ②羽毛への感染による異常
   <羽毛ダニ>
   <ハジラミ>
  ③ウイルス感染による羽毛異常
   <PBFD(Psittacine Beak and Feather Disease)>
       (オウム・インコ類の嘴と羽の病気)
   <BFD(Budgerigar Fledgling Disease)>
       (セキセイインコの雛病)
  ④内科疾患による羽毛の異常
   <脂肪肝症候群(しぼうかんしょうこうぐん)>
   <甲状腺疾患>
  ⑤感染症や内臓疾患などから来る羽毛の異常
   <ストレスライン>
  ⑥羽包の異常
   <羽包嚢胞(うほうのうほう)>
   <羽包上皮種(うほうじょうひしゅ)>


 







正羽

<羽毛の構造・正羽>
 一般的な構造を持つ羽根いわゆる「正羽(せいう)」は羽幹(うかん)を中心として羽弁(うべん)を持つものを指します。羽幹(うかん)は羽弁(うべん)がある羽軸(うじく)と羽弁(うべん)の無い羽軸根(うじくこん)より出来ています。羽弁(うべん)は羽枝(うし)およびそこから生える小羽枝(しょううし)より成り立っています。羽枝(うし)は羽軸(うじく)にある水平に位置する2本の浅い溝から45度の角度で生えています。その羽枝(うし)から生えている小羽枝(しょううし)には2種類ありカギ状の鈎(小鈎)のある有鈎小羽枝(ゆうこうしょううし)と後の無い真っ直ぐな弓状小羽枝(きゅうじょうしょううし)から成り立っています。このかぎ状の部分が弓状の部分と絡まり一枚の羽弁(うべん)として成り立ちます。この絡まりは簡単に外れますが、根元の部分、羽軸根(うじくこん)より羽根先に部分に向かってこするとすぐに元に戻ります。これは鳥が嘴で簡単に羽根を元に戻すことが出来る事を表しています。これを「羽繕い」(はづくろい)と言います。全ての鳥がこの構造を持つのではなく、このカギ状構造(小鈎)を持たない鳥もいます。それはダチョウです。羽弁と言う構造を持たないため、ダチョウの羽はまとまらず(羽弁にならないため)フワフワしているように見えます。同じ飛べない鳥(平胸類)でもペンギンにはカギ状構造(小鈎)がびっしりとあります。これは水圧などが羽根にかかると他の羽根と絡まり、一枚の布のようになり、防水性と保温性、水の抵抗を減らすなどの役に立っているのです。
 

投稿者: 小鳥のセンター病院

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