2012.08.19更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの羽についてです。今後このシリーズはしばらく続きます。まずは目次です。


鳥さんの「鳥さんの羽」である羽毛についてのTOPICSを今後アップして行きます。今後の内容を大まかに目次として下記します。次回より少しずつアップして行きたいと思います。


目次
 初めに・・・・「羽」、「羽根」、「羽毛」の使い分けとは?
 羽根と・・・鳥類の特徴である羽について
  <羽根の役割・機能>
  <羽根の重さ・体重に対する割合>
  <羽の生えている領域>
 羽毛の構造・・羽根の構成物質は?どのような構造・特徴なのでしょうか?
  <羽毛の構成物質>
  <羽毛の構造・正羽>
  <羽毛の構造・綿羽>
  <羽毛の構造・糸状羽>
 羽毛の種類・・鳥の羽毛にはどのような種類があるのでしょうか?
  <羽毛の分類>
  <羽毛の種類・①正羽>
  <羽毛の種類・②綿羽>
  <羽毛の種類・③半綿羽>
  <羽毛の種類・④毛羽、糸状羽>
  <羽毛の種類・⑤粉綿羽>
  <羽毛の種類・後羽>
 羽のお手入・鳥さんの羽のお手入れとは?
  <羽繕い(ハヅクロイ)>
  <羽繕い(ハヅクロイ)と尾腺・尾脂腺>
 換羽・・・・・鳥さんの羽の入れ替えはどのように起こるのか?
  <羽の生え方>
  <換羽(カンウ)・トヤが起こる理由>
  <換羽中の鳥さん>
 羽の異常・・・大事な羽の異常はどのような病気を表すのでしょうか?
  ①  羽毛への直接的なダメージによる異常
   <羽咬症(うこうしょう)、毛引き症(けびきしょう)>

  ②羽毛への感染による異常
   <羽毛ダニ>

   <ハジラミ>
  ③ウイルス感染による羽毛異常
   <PBFD(Psittacine Beak and Feather Disease)>
       (オウム・インコ類の嘴と羽の病気)

   <BFD(Budgerigar Fledgling Disease)>
       (セキセイインコの雛病)

  ④内科疾患による羽毛の異常
   <脂肪肝症候群(しぼうかんしょうこうぐん)>
   <甲状腺疾患>
  ⑤感染症や内臓疾患などから来る羽毛の異常
   <ストレスライン>
  ⑥羽包の異常
   <羽包嚢胞(うほうのうほう)>
   <羽包上皮種(うほうじょうひしゅ)>

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.08.12更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの暑い日の過ごし方についてです。暑さに強い鳥さんでも限界はあります。どのように過ごせばよいのでしょうか?



ゴシキセイガイインコ
 連日、気温が30℃を超えています。家の小鳥さんは元気ですか?家で飼われている多くのコンパニオンバードは温帯から熱帯にかけて住んでいる鳥さんたちです。そのため、基本的に暑さには強い鳥さんが多いです。熱い日でも風通しのよい場所にいる小鳥さんであれば、できるだけエアコンは使わずに過ごしたいものです。しかし、防犯などの理由から窓を開ける事が出来ないため、風通しが悪くなり部屋の中の温度が異常に上がってしまう場合もあります。この場合のエアコンの設定は冷房で28℃~30℃に設定をしてください。さらにエアコンの風が直接鳥さんに当たらないようにカゴを移動する事も忘れないでください。人と同じ部屋にいて30℃の冷房ではちょっと暑い、と言う場合は小鳥さんを他の部屋に移すことも1つの方法です。その時に小鳥さんのいる部屋の戸を少し開け、冷気が少しだけ入るようにして30℃位を維持できるようにしましょう。小鳥さんに冷房を当てるとすぐに冷えてしまい、病気になってしまいます。温度管理に十分注意して熱い夏を事故・病気なく乗り切って下さい。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.07.29更新

ヘルニアヘルニアを起こした鳥さんのレントゲン画像
赤い矢印:ヘルニアを起こした部位をあらわしている。

  
今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズの最後になります。発情関連疾患には様々な病気があります。今回はヘルニアです。


 持続的に発情することによりお腹の大きさは戻ることがなくなります。それにより、腹筋が薄くなり、腹筋が破れて腸や総排泄腔や輸卵管が出ることがあります。時には肝臓などの内臓も出ることあります。いわゆる腹壁ヘルニアになります。この腹壁ヘルニアになると、腸がヘルニアに出て太くなり排便障害が起きたり、輸卵管が出たりするだけでありません。卵が入っている輸卵管が出ると卵栓(卵詰まり)の原因になります。腸や輸卵管がヘルニア部分にはまり、ヘルニア輪(腹筋の避けている部分)に腸や輸卵管が閉め付けられてしまうと、腸閉塞や卵管閉塞起をこします。総排泄腔が出ると排便障害、宿便過多、糞石症の原因になる可能性があります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.07.22更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの水浴びです。鳥さんの水浴びは見ていると、とても気持ちよさそうに、そしてダイナミックに行います。


だんだんと日差しが強くなり、30度を超えるようになってきました。小鳥さんたちも積極的に水浴びをするようになってきます。しかし、水浴びをしない鳥さんもいます。水浴びする鳥さんとしない鳥さんは何が違うのでしょうか?そして、水浴びの注意事項はなんでしょうか?

水浴び 水浴び

文鳥さんの水浴び、気持よさそうですね。


 
水浴びをする鳥さんでコンパニオンバードと言えば熱帯出身の大型の鳥さんや文鳥さん、猛禽類などが挙げられます。これらの鳥さんたちは水浴びが大好きで寒い冬でもお構いなしに水浴びを行います。あまりしない小鳥さんと言えばセキセイインコさんです。しかし、水浴びを好まない鳥さんや水浴びが大好きなセキセインコさんもいるので個体差があます。しかし多くのセキセイインコが水浴びを行わない理由は乾燥地帯出身なので、水浴びをする習慣がないためと言われています。水浴びをしない鳥さんは砂浴びや煙浴などを行っています。
お風呂?いえ水浴びです。
水浴びは羽根に付いた寄生虫や、積もった脂粉を落とすためと言われています。そのため、脂粉が多く出る鳥種では積極的に水浴びを行う事が多く、出来ない環境下ではこの事が原因で毛引きなどの病気になる事があります。水浴びの方法は様々で、シンクに飛んで行って水を浴びる鳥さんやシャワーを好む鳥さん、水入れに飛び込んでしまう鳥さんもいれば、霧吹きで間に合う鳥さんもいます。その子にあったまたは気に入った方法で行う事がベストになります。この際に注意すべき事は環境の温度と水温です。水浴びするときに環境温度が寒いと風邪をひく可能性があるため、十分に暖かい部屋、または暖かい日光下で行う事が重要です。水温は水が基本です。お湯浴びは鳥さんの脂を取りすぎてしまい、体温の喪失が大きくなり体調を崩す原因取ります。必ず水で行ってください。また、水浴びは自発的にするのが良く、嫌がる鳥さんに人が無理やり水をかけることは厳禁です。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.07.08更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。男の子より女の子の方が繁殖に関係する病気が多いです。


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-8)

黄色腫・キサントーマ

 発情のホルモン(エストロゲン)はお腹の皮膚にも変化を起こします。まず発情のホルモンはお腹の皮膚をたるませます。これは卵がお腹の中にできた時に、お腹の中に卵の分の容積が必要になります。その容積を確保するために皮膚がたるみます。繁殖期や非繁殖期を頻繁に繰り返し、卵をよく産んでいるとたるんだ皮膚が次第に黄色く厚くなっていきます。これが「黄色腫(Xanthoma)」と言われるものです。「腫」と書きますが、黄色腫自体は腫瘍ではありません。脂肪(リポタンパク質)を食べた(貪食した)白血球の1種(マクロファージ)の集まりです。この黄色腫は炎症や腫瘍などの刺激を受けてできるものです。すなわちお腹が大きくなったり、小さくなったり、卵が入ったり、無かったりなどの刺激を受けてできます。さらに発情するホルモンにより、血中のコレステロール(脂肪・リポタンパク質)が増えるので黄色腫が出来る可能性がさらに上がります。この黄色腫は非常に血管が発達している組織で、炎症産物なので刺激性があり自咬症やひっかくなどの刺激により出血を起こしたり、ひどくなると皮膚に穴が開くことがあります。

 


 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.07.01更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは小鳥さんの下痢です。小鳥さんの下痢とはどのような状態で、何が原因になるのでしょうか?



正常便 下痢

小鳥さんの便
左:正常便・・コンマ型の便に白い尿酸が乗っている
右:下痢・・便の形が分からなくなっている


 小鳥さんも下痢をします。鳥さんの種類にもよりますが、多くの小鳥さんの便はゆるい状態では出ません。例えばセキセイインコちゃんの正常な便は小さいコンマ型で緑褐色、その上に小さい白いおしっこが乗っている状態が正常な便です。下痢とはこのコンマ型の形が崩れた状態を指します。下痢と言って間違いが多いのは水分の多い便の場合があります。もちろん下痢の場合、水分は多めになります。しかし鳥さんは尿も一緒に出るため、尿が多い=下痢とはなりません。ここで、便に付く白い物が尿では?と思われると思います。実は鳥さんは2種類の尿が出ます。鳥さんの腎臓は白い尿と透明な尿の2種類が排泄出来ます。この透明な尿が水分の元になっている事が多いです。下痢はあくまでも便の形が無い事が重要になります。下痢は様々な理由で起こります。多いのは胃や腸の感染症が一番多い理由になります。感染症にも様々な理由があり、細菌、真菌、原虫、寄生虫などが挙げられます。これらは検便などの検査をしなければ原因がわかりません。便がゆるいかな?と思われたら、病院においでください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.06.17更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズ第17弾。メスの発情の問題点です。産卵し過ぎるとどのような病気なる可能性があるのでしょうか?


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-7)
発情<産卵(発情回数を産卵が上回る場合、もしくは様々な理由でカルシウムが取り込めない場合。)
異常卵
形の変わってしまった異常卵
左:異常卵
右:正常卵
左:正常卵
右:殻のない卵

逆に発情しすぎることにより(過発情)、たくさん、慢性的に卵を産むようになると(過産卵)カルシウムが不足し始めます。この状態で卵を産むと、殻の無い柔らかい卵(軟卵)、殻の薄い卵(薄殻卵)などの異常な卵(異常卵)を産卵することがあります。このような異常な卵(異常卵)でも産むことが出来ればいいのですが、輸卵管の中に残ってしまい産まれない事も起こります。さらに血液中のカルシウムの不足は低カルシウム血症(テタニー)を起こします。低カルシウム血症は筋肉の麻痺を引き起こすので、脚が立たない、心拍が落ちる、虚脱するなどの症状が起きるので、ますます自力で産卵することが難しくなります。さらに低カルシウム血症がひどくなると心不全を起こし死に至ることもあります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.06.08更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの梅雨時期の食事管理についてです。人でも食中毒を起こしやすい時期です。鳥さんの食事も注意が必要になります。


梅雨時の食餌類の保存に注意!!

6月に入り 梅雨の時期になりました。ぱっとしない天気が続き日光浴もしづらい気候になりました。梅雨はもともとカビを意味する黴の雨と書いてバイウと呼ばれていましたが、カビは良くないとのことで、梅雨になったとの説もあります。それぐらいカビが生えやすい時期でもあります。
この時期に注意したい事は鳥さんの体調管理もありますが、食餌類の保存も十分に注意していただきたい事の1つになります。食餌類がカビてしまうと食中毒を起こします。カビ類の出す毒素である「マイコトキシン」は猛毒なために十分に注意が必要です。皮つきシードの食事や青菜はもちろんのことですが、ボレー粉やミネラルブロックなどにも注意が必要です。カゴの隅も注意してください。食餌カスなどが残っているとそこからカビが生える事もあります。しっかりと洗い乾燥させる事が必要です。食餌類やボレー粉などは必ず匂いを嗅いで、おかしい場合はすぐに給餌を中止してください。また、食餌類やボレー粉などは天気のいい日に天日干しをして密閉容器に乾燥材を入れて保存してください。また、余っている食事やなどは冷蔵庫で保管したりするとよいでしょう。また、ボレー粉は煮沸してから乾燥させて冷蔵庫で保管するとよいでしょう。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.05.26更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの疥癬症についてです。非常にかゆみが強い病気です!!



 疥癬症お宅のインコちゃんは顔や脚などを痒がりませんか?その際、止まり木やケージの網、食事入れなどにこすりつける姿をみかけますか?さらに、嘴の脇(口角)やロウ膜の周囲、足や肛門周囲に軽石状の無数に開いた小さい穴の白い塊がありませんか?これらの痒がる姿や無数に開いた小さい穴の白い塊は疥癬症の可能性があります。
疥癬症の原因は穿孔ヒゼンダニ(トリヒゼンダニ)と言うダニの感染によって起こります。このダニは名前の通り皮膚に穴を掘って暮らしています。卵を産むのも、幼虫が育つのも全て穴の中で行います。唯一交尾のみ皮膚の上で行われます。一生を皮膚で穿孔ヒゼンダニ(トリヒゼンダニ)過ごすこのダニは0.3-0.4mmほどの大きさなので、ダニ自体を肉眼で発見することはできません。感染は症状と病態、顕微鏡でダニを見つけることによって確認出来ます。穿孔ヒゼンダニ(トリヒゼンダニ)の起こすかゆみは、ダニが穴をほり、老廃物や脱皮物へのアレルギーにより痒みを生むと言われています。穴を掘る刺激などによって皮膚が厚くなる角化と言われる症状があらわれ、これが症状の1つである軽石状の小さい穴が無数に開いた白い塊(結節)を作ります。この白い結節症状は感染後すぐにあらわれるわけではありません。感染後症状が現れるまで、数か月から数年かかる場合もります。発症理由は年齢やストレスなど様々なことがきっかけで起こります。また、一度症状が出ても、改善することもあり見落とされがちです。しかし、この症状が治療せずに進行すると結節が大きくなり、痒みもひどくなります。それによって出血や皮膚炎を伴い、更にひどくなると嘴の変形や爪の変形、感染部分の皮膚の肥厚などが起こります。最後には嘴や爪の脱落が見られる場合もあります。この病気は接触することだけで、同居している鳥さんにうつります。先ほど記述した通り感染してもすぐに症状に現れません。そのため、感染した鳥さんだけを治療していると、後に同居の鳥さんが発症する事になります。接触したことがある鳥さんがいる場合は症状が無くても治療することが重要です。

この病気は数回の治療で完治できる病気です。できるだけ早く病院へおいで下さい。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.05.13更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズです。発情期のメスの発情の問題点についてです。カルシウムに関係する病気です。


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-6)

 このように発情と産卵がうまく進行しバランスよくカルシウムの蓄積と消費がおこれば問題は少ないのですが、どちらかが多くなると病気になります。

発情>産卵(発情回数が産卵回数を上回る場合)
 発情回数が多く卵をあまり産まないでいると、卵になるはずのカルシウムが骨の中に残るので骨の中にカルシウムが沈着、蓄積する「多骨性過骨症、多骨性骨化過剰症・Polyostotic Hyperostosis(PH)」になります。
正常骨
正常骨:緑の矢印
骨の中は空洞であることが分かる。
多骨性骨化過剰症(PH)異常骨:赤の矢印
正常の骨(緑の矢印)と比べると骨が全体的に白く空洞がつぶれていることが分かる。
多骨性骨化過剰症(PH)

これは骨が重くなるだけではなく、空洞な骨のようにしなやかさが無くなり、硬くなるので折れる(骨折)などの事故が起こりやすくなります。また、骨に異常をきたすので変形性関節症(Degenerative joint disease・DJD)などの骨と関節の異常を起こし、脚を引きずる、挙げる、などの「跛行」の症状が出たり、飛べない、羽の位置が変わるなどの症状が出ることがあります。発情ばかりしていると、骨へのカルシウムの沈着も進行すると全ての骨の骨髄が消失(カルシウムの沈着)していきます。骨髄の消失が上腕骨の場合、本来空気が入る場所なので(上腕気嚢)、空気が入ることが出来なくなります。他の骨の骨髄がカルシウムに置き換わる場合、赤血球などを作る場所がなくなるので貧血などの症状になることもあります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

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