2012.05.06更新

家の鳥さんの爪は長くないですか?
 鳥さんも爪は伸びます。鳥さんの行動、年齢、個体差によって爪の伸びる速さは異なります。家で爪切りをされる方もいますが、お勧めしません。「爪切り」と聞くと簡単そうですが、実は鳥さんの保定や爪を切るためには高い技術を必要とします。安易に行うと、出血したり、指を切ったり、場合によっては脚や翼の骨を骨折させてしまうこともあります。爪からの出血は止まりづらく、大量に出血するため止まり木は血だらけになります。脚や翼の骨を骨折すると歩けなくなったり、飛べなくなったりします。では爪を切らずに伸ばすとどうなるのでしょうか?爪が伸びるとカギ状になるため、引っ掛かりやすくなり、飼い主さんの洋服や、絨毯、カーテンなどに引っかかり、爪が折れたり、足を痛めたり、そのまま暴れて骨折したりすることがあります。やはり爪が伸びた場合は爪切りが必要です。爪を削るためのサンドペーパーであるサンドパーチも同様にお勧めしません。サンドパーチは付ける方向を間違えると爪だけでなく足の裏も擦れて削れるので、足の裏にキズが出来る趾瘤症(バンブルフット)になってしまうこともあります。

 万が一の事故やケガを避けることも重要な事です。病院で爪切りを行ってください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.04.22更新

発情期の雌の鳥さんの問題点(4-5)

様々な鳥さんの卵たち!鳥さんは卵を産むために、「輸卵管」と言われる人間で言うと「子宮」にあたる部分で卵を形成します。卵を形成する作業の一つ、卵の外側の「卵殻(卵の殻)」を作ることも重要な作業です。その「卵殻」を形成するためのカルシウムは発情期の発情ホルモン(エストロゲン)が関与します。セキセイインコの場合、卵は1つ24時間~48時間程度でできます。すなわち卵の殻は12時間~24時間でできます。このペースで3~5個卵を産みます。そのため卵を作るたびに血液からカルシウムを取ることはできません。血液からカルシウムを取り過ぎると、低カルシウム血症(テタニー症状)になり命を落とす事もあるからです。そのため、発情が始まるとカルシウムを体内に蓄積をします。体内で空洞(スペースがあり)、そしてカルシウムを蓄積できる場所は骨の中です。鳥さんの骨の中は空洞になっています。そのため、軽く丈夫で空を飛ぶことが出来るのです。その骨の中(骨髄)にカルシウムの蓄積します。いわゆる「骨髄骨」「髄様骨」などと言われるものです。卵が輸卵管の中を進んでくると「殻」を作る部位(輸卵管子宮部)に到着します。ここで、骨の中に蓄積されたカルシウムが殻を作るために動員され卵殻が作られるのです。そして産卵が起きます。産卵のための最後の通過部位は「膣部」と言われる部位です。この膣部を通り過ぎるのはわずか数秒で卵は通り産卵されます。
 卵詰まり過剰に産卵することで問題は多く起きます(後述)が、初産も問題が起きやすいです。それは「卵詰まり」です。詰まることはいつでも起こりえますが、初産の時も起こりやすい問題に挙げられます。産んだ卵を並べると分かるのですが、初めの卵は明らかに大きいことが分かると思います。たまに産む一個目の卵も同様です。注意が必要です。
 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.04.15更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの雛の選び方についてです。鳥さんを迎える時に出来るだけ健康な鳥さんを選びたいです。そのためには何に気を付けるべきなのでしょうか?


「ヒナの選び方」
新年度、新生活を始めるに当たって、新しく家族の一員としてヒナを迎えようとお考えの方がいると思います。
通常の巣立ちの時期よりずっと早く親から離されたヒナは病気にたいるす抵抗性が低いので、なるべく健康そうなヒナを選びましょう。外見上、目がパッチリと開いていて、持ってみるとずっしりと重く、お尻の周りの羽が汚れていないヒナがお勧めです。
ひとまとめにヒナといってもそのヒナの大きさによってサシエが必要な時期は異なります。例えば文長のヒナが自分1人でエサをついばむようになるのに約1ヶ月かかるのに対し、ヨウムのヒナは半年ぐらいかかります。また同じ鳥の種類のヒナでも栄養状態、発育の違い、性格の違いなどで個体差が生じます。そのため生後何日だから、何g(グラム)のサシエを何回あげなくてはいけないという決まりはありません。羽の生えそろっていない小さなヒナは1回に食べられる量が少なく、ちょっと口をつけては休み、、、の繰り返しだったり、尾羽が少し短いくらいの外見上は成鳥とほぼ同じにみえる大きなヒナは1日に2から3回サシエを食べるか食べないかだったりします。健康なヒナはお腹がすいたら人の都合はお構いなしで食事をねだって鳴くものです。それぞれのヒナのそれぞれの成鳥していくスピードに合わせて育てていきましょう。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.03.28更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。メスの発情によって肝臓に問題が起こります。どのような症状になるのでしょうか?


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-4)
 雌の鳥さんが発情するとホルモン(エストロゲン)が肝臓に働きかけ、卵を作るためのタンパク質やコレステロールなどが作られます。雌の鳥さんの持続的な発情によりホルモンが出続け、それに伴い肝臓がタンパク質やコレステロールなどを作り働き続けるので肝臓が疲れてきます。
Yellow Feather
左下白枠内:正常なルチノーオカメインコ。
大きい写真:肝臓疾患により羽色の黄色化。
コザクラインコ 羽色変化
右下枠内:正常コザクラインコの羽の色。
大きい写真:肝臓疾患による羽色の赤色化
 

 
そのため、肝臓疾患(脂肪肝症候群、脂肪肝など)や高脂血症などの問題が発生します。脂肪肝症候群や高脂血症になると爪(出血班)や羽(Yellow Feather YF、黄色化、赤色化など)や嘴(出血班嘴過長)などに特徴的な症状が出てきます。しかし、これらの症状が出ている時ではかなり症状、病状は進行しています。後遺症が残る場合もあります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.03.18更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは小鳥さんの環境の変化についです。鳥さんは環境の変化に強くありません。どのように注意すべきなのでしょうか?


「環境変化に注意」
 年度末、バタバタとあわただしく飼い主さんの生活リズムが変わる事があるかもしれません。生活リズムの変化には人だけでなく鳥さんにも影響します。夜、カゴを暗くするのがおそくて寝不足になったり、カゴの外に出て遊ぶ時間が減ってさびしい思いをしたり、寒い冬の間に体力を消耗して疲れていたり、そういった様々なストレスが、関係して自分の羽をむしってしまう鳥さんもいます。特に羽の抜け変わりの時にストレスを感じ、羽をむしってしまう鳥さんが多いです。人も鳥さんも心身共に健康でいるためにはやはり規則正しい生活を送ることが大切です。鳥さんの1日の日照時間を自然に近い8~12時間にするとよいでしょう。羽むしりは癖になってしまうことが多く、完治しにくい病気です。羽だけでなく自らの皮膚を傷つけてしまう自咬に発展することもあります。飼い主さんが見るたびに羽づくろいをしてたり、ダウンが落ちていたりは羽むしりのサインかもしれません。何かおかしいなと気付かれた事があれば早めにご相談ください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.03.04更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズ第13弾です。発情期のメスの鳥さんは便が大きくなったり、羽を抜いてしまったり、様々な問題を起こします。


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-3)
抱卵班+毛引き巣作り行動」のために胸からお腹にかけての羽を抜きます。いわゆる「抱卵斑」です。持続的な発情によって自分自身の羽を抜く行動が過剰に行われ、自虐(毛引き症)になってしまうこともあります。さらに別の発情行動も起こります。それは下にじっとしていたり、紙の下に潜るなどの「巣籠り行動」です。下にもぐっている間は便をすることはほとんどしません。それは巣を汚す事を避けるためとされています。下にもぐっている間は便を我慢する傾向が出てきます。
大きい便そのため、1回に出る便が大きくなるいわゆる「ため糞」となります。このため糞は身体の中に便を貯めているので、便自体が発酵したりするので、感染症や異臭などの問題を引き起こす事があります。さらに発情中の雌の鳥さんは自分の巣を守るために攻撃的になります。そのため、飼い主さんの手などに噛みつき飼い主さんに怪我を負わす事もあります。そして、発情行動が思い通りにならない場合、ストレスがたまるので自分で自分の羽を抜く、自分自身の皮膚に傷を付けるいわゆる自虐(毛引き、自咬)になる場合もあります。
 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.02.26更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの日光浴です。日光浴は鳥さんには絶対に必要なものです。日光浴をしないと、、、、、、


 暖かい日に外に出して日光浴をすることは鳥さんにとって必要不可欠な事です。外に出して日光浴をすることは鳥さんの免疫力を上げ、骨を丈夫にし、規則正しい生活を送る基礎にもなります。そのためには外に出す必要がありますが、この際いくつかの注意が必要です。
 まずは気候変化です。寒い日は外に出す時に保温球をつけるなど暖かくして出す必要があります。また暑い日は日射病に注意して朝夕の涼しい時間帯に出す必要があります。
 次に外敵です。一番の問題は「猫」、「カラス」による襲撃です。猫はカゴの中に手が入らないため、カゴを倒したり、落としたりして鳥さんを怪我させることが多いです。猫が来られる範囲は1階の庭や低層階のベランダですが、時に同階の猫の場合もあるためベランダなどでつながっている部屋も注意が必要です。カラスは非常に頭が良く(大脳の大きさは群を抜く)視力もよいので、1分でも鳥さんから目を離せば、あっという間に襲われてしまいます。現に多くの場合、ほんの数分の間に襲われている事が多く見られます。十分に注意が必要です。
安全に日光浴ができる方法は飼い主さんの膝の上でカゴごと抱っこして、のんびりと30分ほど日光浴することが安全です。窓越しではあまり効果が無いとの報告があります。十分に注意して日光浴をしてください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.02.12更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。発情のメスの鳥さんは男の子のように求愛をする場合があります。それによって病気になることもあります。


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-2)

 発情行動は他にも問題を起こします。意外かもしれませんが、雌の鳥さんも「吐き戻し」をします。雄の鳥さんの場合とは違い雌の鳥さんの場合はヒナに食事を与えるためと言われています。しかし、雄の鳥さんと同様に、「細菌性ソノウ炎」や「真菌性ソノウ炎」になってしまうことがあります。また、吐き戻しが多いと飲水量も増えていくので便に含まれる水分量も増えていき、いわゆる多尿便になってしまいます。
 

脚への求愛行動
雌のセキセイインコの脚への求愛行動

 求愛による脚と止まり木の汚れ

求愛により汚れた脚と止まり木

 


 吐き戻しの対象が物の場合(鏡やおもちゃなど)はこまめに洗うことによりソノウ炎などの病気を程度防止できますが、自分自身の体、食器、止まり木などに吐く場合はさらなる問題を起こす可能性があります。自分自身に吐く(脚や肩)場合、羽が抜け皮膚が炎症を起こすので、重度の皮膚炎を起こす場合があります。止まり木に吐くと足で踏んでしまうことがあるので、足底症(バンブルフッド)の原因になることがあります。
 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.02.05更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの極寒時の発情です。もちろん、すごく寒い時に鳥さんは発情しません。ではなぜ、、、、、、?


「小鳥さんの極寒時の発情」
 寒さが一層厳しくなり、自然界では発情が止まる時期です。しかし、人と一緒に室内で生活している鳥さんは寒い時期でも発情が持続しがちです。その理由として暗くなるのが早くなる分明りを付ける時間が長くなると言う日照時間の延長、人が寒さのため外出することが少なくなり家で鳥さんと触れ合い、過ごす時間が増える事が考えられます。極寒のこの時期に発情が続き、産卵することには、寒さによる体力の低下、栄養の不足などが重なり、お腹の中で卵がつまって出てこなくなってしまったり、卵を出そうといきんだものの、卵と一緒に総排泄腔や輸卵管が反転して外に出てしまったりする危険性が高くなります。
いつもと違う様子に気付かれたら暖かくして、なるべく早くご来院下さい。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.01.22更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズ第11弾です。今回の問題点は破壊です!!


発情期の雌の鳥さんの問題点(4-1)

 

破壊行動 巣作り行動

 


                                                                              
 雌の鳥さんが発情することにより紙などをバリバリと噛み砕く破壊行動が激しくなります。これは「巣作り行動」と言われており、巣材として使用するために砕きます。しかし、敷き紙などの紙だけではなく、止まり木などは折れてしまうほど噛み砕きます。カゴの外では新聞や雑誌などの紙類だけでなく、壁紙や家具なども破壊することもあります。場合によっては中毒を起こす物でも咬んでしまうこともあります。例えば、鏡の裏の鉛などをかじってしまい鉛中毒になります。 敷き紙をかじっていると、糞が口に入ることもあります。そのために衛生的な問題だけでなく、ソノウの感染症(細菌性ソノウ炎、真菌性ソノウ炎、原虫性ソノウ炎など)になることがあります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

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