2012.01.15更新

今日は小鳥のセンター病院です。今回のBLOGは鳥さんの病気を気づくための小さなサインのお話です。


「忙しい時でも忘れずに」
 暮れの大掃除や新年を迎える準備でなにかとあわただしくなり、鳥さんの状態を把握できないことがあります。
鳥さんは元々病気を隠す動物なので、人が気付いた時には病気が既に進行してしまっている可能性があります。忙しい時でも飼い主さんに必ずしてもらいたい、最も簡単で重要な事は、毎日のカゴの床敷きを取り換えることです。毎日シードの皮がどのくらい落ちているのか、毎日どんな形のどんな色の便がどのくらい出ているのか、目で確認できます。毎日の状況を把握することで、まず初めに便の形の変化に気付くようになり、更に便の1日の量の変化や、便の色の変化、便の大きさの変化などから、ホルモンバランスの変化、発情に伴う体の変化など、鳥さんが発する様々なサインに気付くことが出来るようになります。いち早く鳥さんのサインに気付いて、早めに対応して行きましょう。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2012.01.04更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの発情シリーズ第10弾です。オスの鳥さんの発情についての問題点です。鳥さんならではの問題もあります。


発情期の雄の鳥さんの問題点(3-2)
精巣が肥大化したり腫瘍化したりすると様々な部位に問題が出ますが、鳥さんならではの病気の発症もあります。それは「脚」に症状が出ることがあります。鳥さんの精巣は左右の腎臓の下(鳥さんが通常姿勢の場合)に2つついています。このうち、左の精巣は右の精巣より腎臓の近くにあります。精巣が肥大化したり腫瘍化したりした時に精巣は大きくなります。しかし、鳥さんのお腹の中の容積には限りがあるので、大きくなった精巣は周囲を圧迫していきます。その時に腎臓も圧迫を受けます。鳥さんの腎臓は特殊で骨盤の腎窩という腎臓を納めるための「骨のくぼみ」に入っています。この腎臓の中には足に行く神経が走っています。その神経は「坐骨神経」です。人の方ではこの神経を痛めた症状を坐骨神経痛と言い、太ももやふくらはぎに症状が出ます。すなわち脚に関係する神経です。この神経を肥大化した精巣や精巣腫瘍が腎臓ごと圧迫をします。それにより脚を挙げて指を握ってしまう症状が出ます。もちろん痛みは感じますし、脚を使うことはできることが多いのですが、ふと見ると脚を握って挙げていて、右足で立っている姿を見るようになります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.12.25更新

正常削痩過肥









今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの「太り具合」についてです。鳥さんの栄養状態の把握は非常にわかりづらいです。どのように把握するのでしょうか?



上記の写真は「削痩」、「過肥」、「正常」を表しています。どれが削痩?過肥?正常?わかりますか?



 答えは左から正常、重度に痩せている(重度削痩)、右は太り過ぎ(過肥)の状態を表しています。上写真は鳥さんの背中を下に、お腹を上にして竜骨を中心として左右の胸筋(浅胸筋・深胸筋)の量あるいは脂肪の量を表しています。正常な体重の場合、竜骨を頂点として、山なりになっているのが分かります。しかし、削痩している鳥さんは、竜骨が尖っています。筋肉量が落ちているのです。これが削痩です。この状態で竜骨・胸部あたりを触ると線状に竜骨が触れて痩せているのが確認できます。この状態になるためには理由があります。それは感染症であったり、腫瘍であったり、肝臓病や腎臓病などの内科的疾患であったり様々です。
 太っている鳥さんは竜骨が頂点になっておらず周囲の筋肉と脂肪が盛り上がっているのが分かります。この状態になると飛ぶことが難しくなり、羽ばたいてはいますが「ボ、ボ、ボ、、」と音がしながらグライダーのように下に降りて行くのが精一杯になります。指に乗った感覚も重たくなったかな?と思わせます。これで竜骨・胸部あたりを触ると線状に触れる骨である竜骨を確認できなくなります。そこは凹んでおり、周りの筋肉と脂肪が邪魔していることがわかります。これの原因は食事・環境問題などになります。食事を大量に上げている、求愛してくれる相手がいるなどが上げられます。
 このように痩せている・削痩、太っている・過肥は触ることによって判断することができます。触る事が難しい場合には健康診断を定期的に受けてみてください。

 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.12.11更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。男の子発情はどのような問題を起こすのでしょうか?


発情期の雄の鳥さんの問題点(3-1)
 

 雄の鳥さんが季節性を持ち正常な範囲で繁殖期と非繁殖期を繰り返す場合は問題になることは少ないのですが、持続的に発情する環境の場合は問題を起こす可能性が十分にあります。それは精巣の問題です。
 まず、鳥さんの精巣はどこにあるのでしょうか?哺乳類の様に外に出てはいません。飛ぶ上で邪魔になるので身体の中にしまうことを選びました。この事が持続的に発情することで問題を起こす事になります。
雄 正常ロウ膜鳥さんの雄の精巣は発情している時と発情していない時とで大きさが何十倍から何百倍近く変わる(体積比で数100%)との報告があります。さらに精子を作るために活発に細胞分裂を繰り返しています。このようにサイズが大きく変わり、活発に分裂する臓器は他にありません。
ロウ膜の変色この精巣に持続的な発情はどのような作用を及ぼすのでしょうか?持続的な発情をすることにより、精子の細胞分裂がずっと続くことになります。さらに発情を維持するホルモンが精巣に降り注ぐので、精巣が大きいまま維持され続けます。さらに体内にある大きい精巣がなかなか冷えにくくなり常に暖かい状態が維持されます。このような条件が重なり、このような状態が続くことにより精巣が腫瘍化(セルトリ細胞腫、間細胞腫、精上皮腫など)してしまうことがあります。精巣が腫瘍化すると、様々な問題が起こってきます。精巣腫瘍の種類(セルトリ細胞腫)によってはろう膜の変色や行動が変化してしまうことがあります。行動は下に降りてじっとしていたり、紙をちぎってたり、ひどい場合は発情ポーズのような行動まで見られる場合があります。すなわち雌の鳥さんの様(雌性化)になってしまうこともあります。
 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.12.04更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは「鳥さんの食事」についてです



 気温が下がっているこの時期を元気に過ごすためには外からの保温に加えて寒さに強い身体を作ることが重要です。
食事の好き嫌いはないですか?鳥さんの主食となるシードは種類によって含まれる栄養素が異なります。好きだからといって単一の種類だけ与えると栄養が偏ってしまうので気をつけましょう。餌箱いっぱいに食事を入れてしまうと、上から好きな物ばかり選んで食べてしまいます。1日に食べるシードの量は大体セキセイインコさんで5g前後、量の目安として5g前後、量の目安として5gはペットボトルのフタ、すりきり1杯程度になります。朝入れた5gのシードが夕方足りなくなっているようであれば、ほんの少しだけ足してあげてください。食餌量は多すぎず、少なすぎず腹八分目になる量が最適です。もちろん副食の青菜類(小松菜やチンゲン菜などの緑の濃い物)やボレー粉も毎日欠かさないようにしましょう。
 バランスのとれた食餌と運動、規則正しい生活をすることで、寒い時期でも病気を寄せ付けない丈夫な体を作ることが出来ます。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.11.21更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。オスの鳥さんは発情し続ける傾向があります。それによって起こる事故やけが、病気などがあります。

発情期の雄の鳥さんの問題点(2)


 雄の鳥さんが発情することにより、総排泄孔をこすりつける行動も行われます。こすりつける物が、柔らかい物であれば問題は起こりません。しかし、止まり木や食器の角など硬い物やザラザラした物に過剰にこすりつけることで、出血を起こします(擦過傷)。そして、出血は擦りつけている時だけではなく、その後の便や尿と一緒に出てくることがあるので、血便や血尿として勘違いされることも多いのです。さらにこの状態が続き持続的に発情が起こると、満たされない欲求に対してイライラするので、自分で自分の羽を抜く、自分自身の皮膚に傷を付けるいわゆる自虐(毛引き症、自咬症)になる場合もあります。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.11.15更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは「鳥さんの寒さ対策」についてです。寒さに鳥さんは弱いです。どのように守ってあげればよいのでしょうか?

 11月に入ると、日が沈んだ後と、日が昇る前にぐっと気温が下がるようになります。急激な温度変化は鳥さんの体に大きなストレスをかけ、命に関わることもあります。まず、最初に鳥さんのカゴの置き場所を確認しましょう。窓辺は明るく日が射しこみ、日中のカゴの置き場所としては最適ですが、日が沈んだ後は外気が伝わりやすく、急に温度が下がってしまいます。日が沈んだ後は鳥さんを室内の暖かい場所へ移動してあげてください。
鳥さんを室内の暖かい場所へ移動した後夜になったら、濃い色の布でカゴの周りを覆って、ゆっくり休めるようにしてあげてください。また、布の素材によっては爪を引っ掛けてしまってケガをすることもあります。タオル地は特に気を付けてください。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.11.01更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。雄の鳥さんの発情行動として、「求愛」があります。それによって起こる問題とは何でしょうか?

発情期の雄の鳥さんの問題点(1)
 

雄の鳥さんは雌の鳥さんの発情期のきっかけを作ります。雄雌のペアで飼育、または複数羽飼育している家の雄の鳥さんの発情はその後の雌の鳥さんの発情期のために重要になります。もちろん雄一羽で飼育している鳥さんにとって、発情は様々な病気を発症させる原因となります。
 

太りすぎ(過肥)

 雄の鳥さんが発情することにより1番問題となるのは「吐き戻し」です。いわゆる求愛行動です。雄の鳥さんは雌の鳥さんへ食事を吐き戻してあげるのですが、これが過剰になると雌の鳥さんが非常に太ってしまい、飛ぶこともままならなくなってしまうほどです。雄の鳥さん一羽で飼育している場合の求愛対象は人や物になります。

求愛過多 特にケージの中に入っている鏡やおもちゃ、さらには止まり木やケージの隅、食器などに吐き戻しをします。吐くだけであれば問題は起こりづらいのですが、おもちゃなどに吐き戻しをした食事をまた食べる、また出すなどを繰り返す事も起こります。これによって吐いた物に細菌やカビが繁殖(バイオフィルム)をします。その細菌やカビの生えた吐き戻しをソノウに取りこんでいるうちにソノウ粘膜の免疫が負けてしまい細菌やカビなどが繁殖します。すなわち「細菌性ソノウ炎」や「真菌性ソノウ炎」になってしまうことがあります。

多尿

また、吐き戻しが多いと飲水量も増えていくので便に含まれる水分量も増えていき、いわゆる多尿便になってしまいます。吐き戻しの対象が物の場合(鏡やおもちゃなど)はこまめに洗うことによりソノウ炎などの病気を程度防止できますが、自分自身の体、食器、止まり木などに吐く場合はさらなる問題を起こす可能性があります。自分自身に吐く(脚や肩)場合、羽が抜け皮膚が炎症を起こすので、重度の皮膚炎を起こす場合があります。止まり木に吐くと足で踏んでしまうことがあるので、趾瘤症(バンブルフット)の原因になることがあります。さらに、これらは鳥さんを飼育するうえで撤去できない物なので、吐く量や回数をコントロールすることが非常に難しくなります。


 

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.10.24更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOG小鳥さんが痩せている?太っている?についての話です。家の鳥さんが痩せているのか?太っているのかはわかりづらいものです。


 「削痩」とは何でしょうか?読み方は「サクソウ」と読みます。痩せていることを表しています。「過肥」とは何でしょうか?読み方は「カヒ」と読みます。太っていることを表しています。鳥さんの「削痩」と「過肥」とはどのような状態でしょうか?
セキセイインコ膨らんでいるセキセイ





鳥の栄養状態(痩せているのか?太っているのか?)は見た目だけで把握することは難しいです。いくつか理由があります。鳥さんは全身が羽毛におおわれているため、太っている、あるいは痩せている、などの区別が外見だけでは分かりにくいためです。特に寒いときや具合が悪い時には羽を立てて膨らんでいる「膨羽(ぼうう)」と言われる状態になります。この状態は全身が膨らんでいるように見えるので、ますます栄養状態の把握が難しくなります。さらに鳥さんは「食べているふり」をすることがあります。頭を餌箱の中に入れてしきりに食べている。殻をむいた後もある。この状態をみると、食べていると錯覚してしまうので痩せていくことに気付きづらくなります。
では鳥の体系を推測するための方法は他にあるでしょうか?たとえば 食事量で分かるでしょうか?食事量のチェックは大変に大事な作業です。しかし、個体による基礎代謝の違い、食べ散らかし、食べているふり、季節、発情の有無などにより栄養状態は大きく変化するので、把握は難しい場合があります。そのため、栄養状態の把握のためには、実際に鳥さんに触れることでベストな体重を見つけてチェックをしていくことが必要です。
お腹が大きいしかし、体重をチェックするだけでは不十分な場合がありあます。体重は変動しないが痩せる病気は色々あります。例えば、腹水などの場合、短時間で溜まるので、体重は変化ないかまたは、逆に増えていくことさえあります。腫瘍の場合、腫瘍は大きくなりますが、筋肉は落ちていくので、初め体重は変化しません。このため体重だけでなく鳥さんに触れて栄養状態を確認する必要があります。

ではどのように把握するのでしょうか?実際の写真も含めて次回、説明をしていきましょう。

投稿者: 小鳥のセンター病院

2011.10.11更新

今日は小鳥のセンター病院です。
今回のBLOGは鳥さんの発情についてです。女の子は巣作り行動をします。ボロボロになるまで紙をかみます。


 

鳥さんの「発情行動」
 

発情行動
発情期は鳥さんの雄が雌の鳥さんに対してアタックをすることで始まります。それにより雌の鳥さんが徐々に発情し始めます。雄の鳥さんは求愛や歌あるいはダンスなどで雌の鳥さんにアタックをします。ここで重要な事は雄の鳥さんから発情が始まることです。雄の鳥さんが雌の鳥さんの発情にスイッチを入れることになります。

発情による破壊行動発情のスイッチの入った女の子は産卵に向けた行動が盛んになります。雌の鳥さんは発情すると攻撃的になるので噛みついたり、紙をビリビリに破いたり(巣作り行動)、暗くて狭い場所でじっとしていたり(巣籠り行動)しながら、少しずつ発情の気分が盛り上がって行きます。
発情による威嚇行動 造巣期は同時に交尾期になります。そのため、巣作りが進むと交尾が行われ、産卵へ進んでいきます。
 この時期は雄の鳥さんも雌の鳥さんも、繁殖期の中で多くの問題を発生しやすい時期になります。この時期をうまく生活させることが、様々な繁殖関連疾患を抑えるための重要なポイントになります。

 

投稿者: 小鳥のセンター病院

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